議員定数削減案の反対討論 | 茨木市議会議員 米川勝利のWEBサイト


2016年12月16日

議員定数削減案の反対討論

12月15日本会議最終日で討論をしました!
その内容を掲載します。

議員発第19号 茨木市議会議員定数条例の一部改正について、茨木市議会議員の議員報酬等に関する条例の一部改正について反対討論

議員発第19号 茨木市議会議員定数条例の一部改正と議員発第20号 茨木市議会議員の議員報酬等に関する条例の一部改正について、反対の立場から意見を申し上げ、議員各位の賛同をお願いするものです。

まず、本市議会は、平成12年12月に定数36から4人減の32に、平成24年6月に32から2人減の30になった経過があります。

本年10月からは、各会派代表者で構成される「議員定数・議員報酬等あり方検討会議」を設置し、11月25日までで計4回議論を行なってきました。その取りまとめは議会のホームページにも公表しています。

当初、検討会議では、自由民主党・絆と大阪維新の会・茨木の2会派から、2人減の主張がありましたが、私たちの会派はそもそもの議会のあり方、議会費全体の中で議員の仕事がどうあるべきかを議論すべきだと主張しました。

検討期間が短かったこともあり、最終的には、議員定数、議員報酬、視察のあり方について意見の合意をみることはできず、1会派は時間的にも短いという主張、私の属する会派を含め2会派からさらに根元的、総合的な点から議論を深めるべきだという意見を出しています。そうした経過があることを指摘しておきます。

このような流れの後、今回、定数2減を提案されているわけですが、以下、反対の立場から大きくは3点にわたって理由を述べます。

 

第1に、何のための定数削減なのか、いまだ持って理解できないことです。

私自身、あり方検討会議に出席させていただいてきました。その上で、本会議、議員定数・報酬審査特別委員会の説明を聞き、さらに昨日配布された特別委員会の会議録を読みましたが、それでもなぜ議員定数を減らそうとしているのかという基本的な説明がされていません

今回、提案されている方々からは様々な発言がありました。

一つには、「4人減を4年前にめざしたが、2人減にとどまったからから残りの2人減をするべき」という論です。こう発言される方は、なぜ今任期の早い時期から、議会改革推進などの取組みで、この議題を取り上げなかったのでしょうか。

また、「議員は人口1万人に1人」発言も多く聞かれました。これに対しては反論するまでもなく、特別委員会の答弁で1万人に1人については「客観的な理由はない」と認めておられます。

委員会構成について「7人×4委員会で28人が適正だ」との発言がありましたが、その後「7人が良くて6人がだめというのはあくまで感覚的な部分は否めない」と述べられるなど、28人が適正だとする根拠がないことを意味しているものです。

マスコミや市民の一部の方には「議員を減らして、税金の支出を減らせばよい」とおっしゃる方がおられます。あり方検討会議の取りまとめの中で、大阪維新の会・茨木からは「市議会議員レベルでは、定数削減することを謳う人が票を獲得する」という正直な発言もありましたが、私たち会派は、民主主義の小学校と称される自治体において、議会の役割、議員の職務と責任、会社員や主婦など普通の市民が組織に属さなくても被選挙権を行使し議会で活動できるための方策を考えることなく、大衆迎合(ポピュリズム)で制度を判断することや、議会が自らをおとしめるようなパフォーマンスには同意できません。

 

 

なお、今年度の議会改革推進委員会で私たちの会派は「視察の際のタクシーによる送迎廃止やグリーン車利用の廃止」について提案を行ってきましたが、定数削減を提案されている会派からの賛同は得られませんでした。また、議員定数・報酬等あり方検討会議では、北摂他市より高い視察費(議員派遣)の予算削減を訴えましたが、提案者の1会派からは、茨木は適正だという意見が出ました。ちなみに、適正であるとする根拠はお聞きできていません。この2点は、審査特別委員会における「開かれた議会、行動力ある議会にしていくためにも、しっかり自分たちの身を削って、費用を捻出して、議会改革に取り組んでいかなければならないのではないかというのが私の思い」という答弁と矛盾するものであり、合言葉のように「身を切る改革」とおっしゃるなら、これら視察費の見直しにも積極的な姿勢を示すべきではないでしょうか。

 

 

 

第2に、議会の機能低下を招くということです。

2000年の地方分権一括法施行後に、国と地方の関係が変わり、義務付け・枠付けの見直しや権限委譲が急激に増加していることから、自治体の仕事量が増えていることは、議員定数削減を主張される方とも共通認識となっています。

本市議会においても、2000年以降、法律や制度改正による条例改正や予算額も増えており、議員が調査・研究しなければならない事柄は増え、議会として議決しなければならない案件は増えています。

特別委員会では、組織論として、「人数が増えれば1人あたりの責任が減ってくる。人数が減れば減るほど誰かに任せていてはあかんから自分が率先してやっていかないとあかんという考え方になる」という答弁がありましたが、36人の議員時代、32人の時代、30人の今、本市議会では、 議員を減らしたことによって、質疑の質や政策提案能力が向上しているのでしょうか。私たちの会派は、議員の数と議員の能力が関係するとは考えられないのです。

 

第3に、市民の多様な意見を反映できなくなるということです。

市民の多様な価値観、ニーズがあるなかで、議員一人が関わることのできる市民の数には多少の差はあれ、限界があります。提案者の方から「情報化社会の進展により、多様な意見を吸い上げる媒体が増えた」という答弁がありましたが、私は、障がいがある方や経済的状況によりネット環境が存在しない方など、自らのライフスタイルとしてSNSを選ばない方だけでなく選べない人がいること、埋もれてしまう声があることを強く訴えたいと思います。

私たちは住民の暮らしに一番近い政治家である市議会議員であり、民主主義と多様性を尊重する立場、すなわち全体主義に陥ることなく、少数意見も尊重できる立場であることを自覚する必要あります。

さらに、本会議答弁では、「情報発信や議会報告会など積極的な努力をしている議員が、今回市民の声を聞いて提案している」と言われておりましたが、あたかも今回反対している議員が市民に議会のことを説明しておらず、市民の声を聞いていないかのような発言は甚だ遺憾であります。

定数の考え方に違いはあれど、各議員がそれぞれの価値に基づき、それぞれのスタイルで努力をしていることは申し添えておきます。

 

次に、茨木市議会議員の議員報酬等に関する条例の一部改正について反対の立場です。

私たちの会派は、議員定数・報酬等あり方検討会議の時から、報酬について「現状維持」を主張してきました。その理由は、これまで本議会では、客観的視点を保障・尊重する立場から、茨木市特別職報酬等審議会の答申をもとに、議員報酬を改定してきた経過があるからです。

議員の報酬に関しても「自分の報酬をいくらにするのか」的な発想ではなく、将来議員になるであろう人や、なってほしい人を想像した客観性が重要だと考えます。

報酬審で審議される際には、報酬審への説明を議員自らが行うなど、客観的視点の担保と独立性を鑑みた制度改正などの議論が必要ではないでしょうか。

さらには、そもそも論である、市民に信頼される議会/議員の役割とは何か、議員はそれぞれがそれぞれのスタイルで活動するとしても、議会としていかに市民に信頼される存在になるために何ができるのか、そのことを抜きにした定数や報酬の議論はあまりにも市民を愚弄したものだと思います。

 

最後になりますが、先日7日の議員定数・報酬等特別委員会では、継続審議の動議が民主ネットから出されました。私も引き続き議論をすべきだという立場で動議には賛成し、日本共産党会派も賛成されましたが、3対4の賛成者少数で否決をされました。

 

私は議会の中で議員定数・報酬等あり方検討会議から議論を積み重ねきた身として、今回このように議論を尽くさないまま最終日を迎えたことが残念です。最終的な意見の相違は仕方ありません。しかしながら、定数の議論を何年やっても一緒ということはないし、議会としてどうあるべきかは、絶えず問わなければならないことです。議会制民主主義のもとでは多数決であっても、互いの考えを理解し、議論を尽くすことが何より重要だと考えます。

以上、反対する理由を申し述べました。議員各位のご賛同をよろしくお願いします。

ありがとうございました。