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2025年5月3日

迂回する経済

本会議質疑のテーマ2つ目

緑の基本計画について

【質問趣旨】
・1959年の茨木市基本計画、その後の総合計画を読むと、本市における緑の施策、重点的にやってきたとわかった。国際的な潮流や国の方針はさることながら、本市だからこその緑の基本計画、次世代のための緑の施策をつくっていただきたい。

・「直進する経済」から「迂回する経済」として、まち全体のパブリックライフを耕すという視点

1問目
①これまでの計画の評価と取組目標について

今回質問にあたって、緑の基本計画以前、本市ではどういう計画だったのかと思い、遡ると、1959年の茨木市基本計画の中の公園緑地計画にたどり着きました。その計画の中では図面をもってその配置を手法が記載されています。

その後、昭和46年(1971年)の総合計画に公園緑地整備計画が盛り込まれ、「急速な都市化が進行している都市では、オープンスペースはますます必要となり豊かな人間生活、いわゆる物心両面のかてとして生活環境を良好に保持すると同時に、都市の物価性を高めるうえからも、また、災害時の緊急避難場所、市民の体力、運動能力の向上のためにも広場が必要であり、都市生活の安全性、保健性および快適性のためにも公園緑地は、都市施設の中の重要施設としてその果たす役割は大きい」(74ページ)とされています。

昭和54年(1979年)からの総合計画では、「自然環境の保全と整備」の中で、今後の緑の総施策の方向性が示されています(緑地の保全と緑化の推進)。

昭和59年(1984年)からの総合計画においては、公園・緑地の将来計画として、(1)整備、(2)管理、(3)緑のネットワークの形成の3つの視点で書かれています。

平成7年(1995年)の総合計画においては、うるおいのある緑と水辺として将来計画が記載されています。

そして平成12年(2000年)に、本市では初めて緑の基本計画を策定し、平成28年(2016年)に第2次の計画策定、そして令和3年(2021年)に中間見直しが行われました。

戦後から昭和の時代は公園等の緑地化を進める。公園を作るといった「整備」の時代で、平成に入る直前からは管理の考えも出始めて、平成では維持管理の時代にシフトしていったと理解しました。

そこでお聞きします。本市における過去の緑の施策の経過をどのように捉え、今、どのようなフェーズ(局面)に入っていると認識されているのか、お聞かせください。

・また、平成12年(2000)以降の本市の緑の基本計画について、取り組みの全体的な評価についてお伺いします。

・次に、策定意義についてです。私としては、緑の基本計画は策定すべきとの立場ですが、都市緑地法第4条では、緑の基本計画は策定義務とはなっていません。当初予算案にて、緑の基本計画改定が示されましたが、改めて策定の意義どのように捉えているのでしょうか。

・また、重なるところもあると思いますが、現計画において、緑とは、周辺山系の森林、都市の樹林・樹木・草花・公園、農地並びにこれらと一体となった水辺及びオープンスペースと定義されており、緑の効果として存在・利用・媒体効果を挙げています。改めてこれからの緑の果たす役割についてどのように捉えているかお示しください。

・次の計画策定にあたってのポイント、策定の手法とスケジュールについてお示しください。

2問目
(ⅰ)茨木における緑の質について
広い意味で量から質へというお答え、これまでの評価、計画の策定意義、次期計画のポイント等をお示しいただきました。

量から質へと言う部分は、憩い、豊かさ、幸せ、緑化推進の意義、ということで、普遍的な理念をお示しいただいたものと受け止め、確かにその通りであると思います。

そこでさらにもう少しお聞きしたいのが、普遍的なことのほかに、「茨木市」は他市とは異なり、過去の緑のまちづくりにおいて、何を大切にしてきたのかという点です。今の本市の緑は、過去からの取り組みがあったゆえの結果です。今回、過去の計画を見る中で、量と質という議論とともに、茨木の緑のまちづくりの独自性、先人たちが積み重ねてきたこと、施策の重みがあるのではないかとも感じました。

というのも、例えば本市最初の1971年の総合計画には、「公園用地の確保と、都市公園の発展を阻害する要因排除には情熱をもって、市民生活に直結するコミュニティ施設としての公園整備は重点的にその実現を図らなければならない」(77ページ)とされていて、行政計画らしからぬ、情熱をもってという表現までされています。

・そこで改めてお聞きしますが、本市は1959年以降、どのような価値に重きを置き、本市だからこその緑のまちづくりを進めてきたのか、認識を伺います。

・また、量から質へということについて、次期計画のポイントの中に、「みどりの質を高めることなどによる『豊かさ・幸せ』の実感」ということも挙げられていました。公園をはじめとする緑の質を高めるという具体的なイメージについて、お聞かせください。

 

(ⅱ)緑の基本計画の進行管理について
まず、現計画において、どのような進行管理を行ってきたのでしょうか。また、計画に記載されている取り組み目標の設定が定性的なものになっていますが、その定性的な目標設定のメリット、デメリットをどのように考えているか、お聞かせください。

・次に、次期計画では数値目標を設定するとも現計画には書かれておりますが、数値目標を掲げる予定と理解していいのかご答弁をお願いします。

・あわせて、現計画では「中間見直しと定期見直しの際に、市民意見を反映させる仕組みを検討する」とされているが、実際にどのようなことが検討され、実施されたのか。

・それと、平成21年に大阪府が策定したみどりの大阪推進計画は令和7年度(2025年度)改定となります。府からは今後のスケジュールを聞いているのか。本市の緑の推進計画との整合性(影響は?)はどのように考えているか。

3問目

・茨木だからこその緑のまちづくりは元茨木川緑地との旨。(確かに阪急電車に乗っている時ですら、車窓からの景観としても私は良い場所だと感じます)

質を高めることについては、「使われ活きる公園」をめざし、憩い、地域行事、地域課題の解決の場となること、あらゆる世代の市民が利用し、つながりを感じ、「豊かさ・幸せ」を身近に実感できる場ということを答弁いただきました。担当課の思いを感じることができましたし、茨木の公園を含む緑がそうなっていくことには期待をするものです。

 私は今回、そのご答弁に加えて、次期計画の中で考えていただきたいことがあります。それは、「迂回する経済」として、公園を含む緑に価値を置くことで、結果的にまち全体の価値を高めていくことを考えてほしいということです。

少し長くなりますが、「迂回する経済の都市論」という本によると、これまでの都市開発は「直進する経済」で、利益を最大化するための最短距離をめざし、与えられた敷地に対して、法律や条例で許容される範囲と需要とを合わせて、面積・容積を想定し、床面積の合計を最大化するのが合理的だと。空間は無駄にせず、利益の上がらない屋外空間や利用者が料金を支払わない共有空間を整備するのは意味がない。行政から規制緩和を受けるために確保する必要がある場合だけ整備する、というものだと。

それに対し、迂回する経済は、一見して利益が上がらないことにこそ投資をする。吹き抜け、共用空間、屋外空間などの「無料の空間」が豊かになるほど、空間が魅力的になり、テナントが密に詰まった息苦しい空間よりも来客の滞在時間が伸びたり、客単価が上がったり、リピーターが増えるかもしれない。それ以上に、開発地や周辺地域のイメージが向上することによって、そのまち自体が人々にとっての「目的地」として重要性を増す、という考え方です。

迂回する経済の本分は、まち全体のパブリックライフを耕すことであり、住宅もオフィスも、その周りの環境が魅力的であるから、そこに住んだり働いたりしたいと思うのだ、とされていて、公共的なことを追求すればするほど、むしろ利益は持続的に創出されるというものです。

私は、公園を含む緑のまちづくりこそ、こうした考え方に基づき、開発における利益追求と公共性の二項対立ではない、本市で実践できる第3の道ではないかと感じています[1]

こういう考え方、価値観を計画の中にもつことで、市民、事業者と共有し、同じ方向を向いて緑のまちづくりができたら良いのではと考えるものです。

何より、自然と共生するのは人の原点かもしれませんし、人にそもそも緑は必要不可欠だとも思います。ご答弁にあった「質高めて、使われ活きる公園をめざすこと」は、半分原点回帰であり、半分新たな茨木の価値の1つだと聞いて感じました。

今後、茨木のライフスタイルとしての価値の1つが、緑のなかで過ごすことであり、お金の対価として得る物とは異なる、豊かさの積み重ねによって、日常生活への+αとなればと考えます。

 ぜひ緑の基本計画の中で、過去からの本市の取り組み、大切にしてきたこと、そしてこれからどんな価値を共有していきたいのかということを書き切っていただくことを要望して、次の質問にいきます。