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2025年9月30日

9月議会/本会議質問/中央保育所整備について

令和7年9月議会 一般会計補正予算質疑 中央保育所の整備について

【質問趣旨】土地取得、解体、設計の際に議会の場で意見を言っていないので、その点は申し訳ないが、改めて中央保育所の土地取得と解体、設計までの経緯を説明いただき、新しく作る保育施設だからこそのコンセプトと茨木市の保育所のめざす姿を提示してほしい。

以下質問

 今回提案された補正予算中、中央保育所の整備についてお尋ねします。令和7年度~9年度までの整備事業(継続費)として約12億3千万円、新築工事監理で約5千万が盛り込まれています。まず、改めてこれまでの判断経過について確認させていただきます。

1問目
①これまでの判断経過等について

(1)上中条1丁目の元検察庁跡地への移転を決めた理由、過程について

(2)(民営化せず)公立として建て替えるとなると、国の補助なしと理解していますが、改めて、公立として整備を決められた理由についてお聞かせください。

(3)令和4年12月補正予算 土地購入経費が提案されましたが、敷地面積と購入金額について

(4)合わせて、これまで進められた解体工事関連費用と、建築設計の費用もお示しください。

(5)次に、公共施設の考え方に関してですが、本市の公共施設白書(94ページ)に、「市立保育所は、いずれも建築後 30 年以上経過しており、老朽化の状況を踏まえ、長期的な活用を見据えた適切な維持管理が求められます。」とされており、建て替えが前提とはなっていないものと理解していますが、この移転はどのよう考え方のものと位置づけられるのか。

(6)1問目の最後に、宮元町に建っている中央保育所は今後どのような活用を考えているのか、お聞かせください。


答弁
1-1-1 土地について

 敷地面積は1,226㎡で、購入金額は265,433,000円です。

1-1-2 土地取得までの手続きについて

 令和4年4月に近畿財務局より、未利用国有地の情報提供及び茨木市における公的取得等要望の有無の照会があり、中央保育所の移転候補地として売払いの取得要望を行いました。

 その後、令和5年2月に国と本市で売買代金を決定するための見積合わせを行い、令和5年3月に売買契約に至ったものです。

1-1-3 公立として整備することついて

 茨木市立保育所民営化基本方針において、公立保育所は地域の子育ての基幹的拠点として市内5ブロックに1か所ずつ運営していくとしております。

 その1つである中央保育所は、中央ブロックの拠点としての役割を担う施設として位置付けており、今後も公立として運営していく必要があることから、公立での整備を決定したものです。

1-1-4 解体工事、建築設計の費用等ついて

 元茨木区検察庁建物の解体工事設計に要した費用は、5,138,210円、解体工事に要した費用は、113,590,400円、

解体工事に要した工事期間は、令和6年6月20日から令和7年5月30日、

建築設計に要した費用は、31,958,080円となります。

1-1-5 移転の考え方について
他の公立保育所と比較して利用定員に対する保育の活用スペースが狭いことから大規模改修が難しく、今後も市中心部にあり保育需要の高まりは続くと見込まれることから、施設の状況や地域の実情を踏まえて移転による建て替えを決定したものです。

1-1-6 跡地について
こどもに関する施策課題の解消につながる利用を優先に現在検討しております。

①の2問目
(1)取得要望の判断経過について近畿財務局からの照会があり、中央保育所の移転候補地として取得要望を行ったとのことでした。本市の公共施設等マネジメント基本方針では、長寿命化や再編、複合化が基本的な考え方であると理解していますが、本件は再編や複合化の議論はなく、保育所機能ということで判断されたのか、確認のためお聞かせください。

(2)今後の公共施設の建て替えについて

合わせて、ご答弁いただいたような固有の課題があれば、今後、再編統合や近隣施設の機能との複合化することなく、単独での建て替えもあり得るということなのか、今後の公共施設の建て替えについて見解をお示しください。

(3)跡地について

こども施策にかかわることを優先にということですが、移転を決めてから少なくとも2年半以上は経過していると思います。今現在、検討スケジュールや見通しは、どのようにお考えなのかお聞かせください。

答弁

1-1-1-1(2問目) 保育所以外の活用の検討について
現在のところ敷地面積を踏まえると公共施設機能の複合化は困難であり、中央保育所の施設の状況と地域の実情を考慮し、保育所の移転となったものです。

1-1-5-1(2問目) 今後の公共施設の建て替えについて
行政需要や取り巻く状況等を踏まえてとはなりますが、「公共施設等マネジメント基本方針」に基づき、施設配置の適正化を図る観点から、施設の複合化や多機能化等を基本とした検討を行ってまいります。

1-1-6-1(2問目) 跡地活用のスケジュールについて 
中央保育所移転完了後、速やかに施設を活用できるよう、新しい中央保育所の施設の完成までに結論を出していきたいと考えております。

時間の関係上、②へ。

②の1問目
次に、2つ目の保育施設の検討経過と今後についてお伺いします。

②施設の検討経過と今後について

(1)本市において、保育所・幼稚園を建て替えることはいつ以来か

(2)今回、移転ではあるが、完全に新しい建物をつくります。これまでどのような構想やコンセプトのもと、どんなプロセスで保育施設の設計を進めてこられたのか。既存(現在)の中央保育所の特徴と課題を含めて、今回新築する中央保育所の設計経過、内容、特徴をお示しください。

(3)今の中央保育所は建築年が昭和46年(1971年)で、床面積は550㎡ですが、移転先の延べ床面積と定員をお示しください。

(4)近隣への配慮や交通安全対策は、どのように取り組まれてきたのか。

答弁
1-2-1 保育所・幼稚園の建て替えについて

 公立保育所については、春日保育所を1987年に、公立幼稚園については、沢池幼稚園を1991年にそれぞれ建て替えして以来となります。

1-2-2 新築する中央保育所の特徴等について

 公立保育所で働く保育士や地域住民の意見のヒアリング、また建て替えを行った民間施設の見学を行い、市職員及び設計委託事業者で会議を重ね、設計を進めてまいりました。

 現在の中央保育所は保育スペースも狭く、施設の老朽化も進んでいることから、保育の活動内容やこどもの状況によって場所を変えられるようなスペースを設ける工夫をしております。

特徴としては、特別な配慮や医療的ケアが必要なこどもを含め、すべてのこどもが地域に見守られながら安心・安全に過ごせる環境を整備することを目標に設計を進めてまいりました。

建物の概要としては、3階建ての園舎で、屋上に園庭を設置しております。

1-2-3 移転先の状況について

 延べ床面積はおよそ1,470㎡程度で、定員を110人から120人へ変更を考えております。

1-2-4 近隣への配慮や交通安全対策について

 近隣からの要望を踏まえ、防音採光フェンスの設置や防犯カメラの設置、排気ダクトを屋上から排出できるように工夫しております。

 交通安全対策としては、保護者の送迎時に道路に駐輪しないよう、敷地の中に駐輪スペースを設けるほか、業者の物品搬入等のための駐車スペースを設けております。

②の2問目

保育所については、1987年の春日が最後ということでした。

設計やコンセプトに係るところは重要だと感じていますので、さらにお尋ねします。

(1)プロセスの成果、見える化について

今回、土地、解体、設計、工事費用等諸々トータル約17億かけて、新しい保育施設を建てます。公立で働く保育士の意見を聞いたとのことですが、どのような考えが集約されたのかお示しください。また、建て替えを行った施設の見学をされたとのことですが、どんなことが参考になったのでしょうか。一連のヒアリングや見学から、何かまとめられたものはあるのかお聞かせください。

(2)施設のコンセプトや目標について

施設の特徴としては、「特別な配慮や医療的ケアが必要なこどもを含め、すべてのこどもが地域に見守られながら安心・安全に過ごせる環境を整備することを目標に設計を進めてきた」とのことでした。

この答弁の「特別な配慮」「地域に見守られながら安心安全に過ごせる環境」というのは当該保育所のコンセプトという理解でいいのでしょうか。インクルーシブな施設ということでしょうか。また、「地域に見守られながら」というのは、近隣からの要望を踏まえただけでなく、地域に開かれた、地域との連携がある保育所をめざすという趣旨なのでしょうか。せっかく新しくつくる保育所なので、もう少しコンセプトのご説明をください。

(3)定員について

 延べ床面積は3倍近くになる一方で、定員は110から120の10名増です。理由をお聞かせください。また、状況によっては定員を増やすことが可能なのかお聞かせください。

(4)保育所整備の今後のスケジュールについてお示しください。

答弁

1-2-2-1(2問目) プロセスの成果等について

 公立保育所の保育士からのヒアリングでは、日頃の保育を通して感じている、働きやすい環境、こども達のためにしてあげたい環境整備について意見を出し合いました。

 また、建て替えを行った施設の見学により、居室空間、エレベーターを含む各種設備、設置する遊具の選定等の参考にさせていただきました。

 資料としてまとめたものは作成しておりませんが、保育環境の質の向上につながると考えられるものについては、可能な限り設計内容に反映してまいりました。

1-2-2-2(2問目) コンセプトについて

 基幹的拠点である公立保育所に求められる機能として、それぞれのこどもの状況に関わらず、すべてのこどもを受け入れられる保育所にしたいという思いの元、これまで設計を進めてまいりました。

例えば、特別な配慮や医療的ケアが必要なこどもを安全に受け入れることができるようホールや保健室の面積を十分に確保し、エレベーターを設置しました。さらに、こども達がのびのびと生活できるようランチルーム、プレイルーム、絵本コーナーを設置しております。

 また、施設の性質上、保育所は、こども達の声に対する苦情をいただくことも多い施設ではありますが、地域からも喜んで受け入れられるよう調整を重ねております。

 今後、運営開始に向け、地域との連携についても、どのようなことができるかしっかり検討してまいります。

1-2-3-1(2問目) 定員について

 広くなったスペースとしては、保育室以外にホールや給食室、医療的ケア児の受け入れを想定し保健室を広くするなど、こどもが常時生活する保育室以外が含まれているため定員については10人の増としております。

1-2-4-1(2問目) 整備スケジュールについて

 新築工事のための予算の議決をいただいた後、工事業者選定のための入札を行い、令和7年度末までに入札で選定された工事業者と契約締結し、その後、令和7年度末から令和9年度後半にかけて約2年間の工事を行い、令和9年度末までに中央保育所の移転を行う予定です。

②の3問目
今回の質問は、保育所を建て替えるという滅多にない機会なので、ただ移転するだけということでなく、プロセスを大事にし、もっと夢やコンセプトがあるよりよい保育所にしてほしいという趣旨でいたしました。

今、「それぞれのこどもの状況に関わらず、すべてのこどもを受け入れられる保育所にしたいという思い」という答弁がありました。ヒアリングを重ねてようやくその言葉を聞けました。設計で出されたものより、そういう言葉が当初からあれば、保育士のみなさんだけでなく、保護者、有識者へのヒアリング、他市のいろんな保育所への視察ができたり、保育室、プレイルーム、絵本コーナーなど建物に木をどれぐらい用いるか、畳や芝生、ひいては畑のスペースを設けるかどうかとか、いろんなことを考え深めることができると思います。

そして、ご答弁では、保育士へのヒアリング・施設見学の成果は、資料として作成されていないということでしたが、設計プロセスは今後のためにも、ぜひ資料として残していただきたいと要望します。

近年は、核家族化、コミュニティの希薄化が進み、かつて地域コミュニティや家族が担っていた子育てや教育の機能を今は保育所・幼稚園、学校が一手に引き受けている面があります。国は、保育所保育指針の中で、「保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場」としていますので、もう昔には戻れないからこそ、保育所に環境や仕掛けが必要なのではないかと。例えば、「施設」というより、子どもたちの「家」をつくる感覚が必要なのではないかと感じています。

また、指針の中で「子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う」といったことが述べられています。それゆえ、公立なので他の園への配慮やバランスが必要なのかもしれませんが、環境づくりはこだわっていただきたいのです。レイチェル・カーソンの「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない」という言葉がありますが、新築を機に、益々子どもの情緒と感受性を育む場とし、安全安心プラスαで、これからの茨木の保育のあり方を提示する機会としていただきたいと思います。

そこで、最後に市長にお尋ねします。待機児童、少子化、配慮を要する子どもの受け入れなど、さまざまなテーマ、課題がありますが、今回、38年ぶりの整備にあたり、本市の公立保育所のめざす姿と展望について、どのように考えておられるか、見解をお伺いします。

答弁
茨木市立保育所では、「乳幼児の最善の利益を尊重した保育を行う」という保育理念のもと、「一人一人の子どもを大切にする保育」「生活する中で、それぞれに『違い』があることを知りお互いを認め合い人権を大切にする心を育てる」の2つを方針として保育を実施しております。

 保育を通して子ども達が「生きる力を持っている子ども」「自分も友だちも大切にする子ども」「自分らしさを表現できる力を持っている子ども」となること、そして自分らしく生き、他者を思いやれる、そんな大人に育ってほしい、そういう子どもを育てる場としてこれからもハード・ソフトの両面から環境整備を進めていきたいと考えております。さらには、地域に根差した保育所として、地域と繋がり、地域に見守られ、地域とともに歩んでいく、本市の取り組んでいる「共創のまちづくり」の場として、そんな保育所を目指していきたいと考えております。


■参考文献
〇汐見稔幸・無藤隆監修、ミネルヴァ書房編集部編著『保育所保育指針 幼稚園教育要領 幼保連携型認定こども園教育・保育要領 解説とポイント』(ミネルヴァ書房、2018年)

〇象設計集団編著『11の子どもの家~象の保育園・幼稚園・こども園』(新評論、2016年)

〇土岐泰之・ユニファ株式会社編著『保育施設の未来地図』(クロスメディア・パブリッシング、2022年)

〇レイチェル・カーソン著(上遠恵子訳)『センス・オブ・ワンダー』(佑学社、1991年)