岸博幸氏の講演~大阪府市議会議長会研修会 | 茨木市議会議員 米川勝利のWEBサイト


2017年11月20日

岸博幸氏の講演~大阪府市議会議長会研修会

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【テレビでもよく見る岸先生の話、勉強になりました】

大阪府市議会議長会の研修会@ホテル阪急エキスポパークに行きました。
大阪府内の自治体議員が集まる研修会なので、雰囲気が普通の講演会とは違います。笑

毎年この時期にある研修会なんですが、今年は慶応義塾大学大学院の教授、岸博幸氏。
1986年に通産省入省で、補佐官、秘書官を歴任された後、2006年から慶応の先生に。

「日本経済の展望~地方活性への鍵」
このテーマでの講演でしたが、非常に勉強になりました。

以下メモですが、その内容を記したいと思います。

■今後の日本経済→2020年以降かなり厳しくなる(悲惨になる)
今は全体として景気は良い。4~6月の経済成長率は2.6%。2%を超えると好景気とされる。
しかし、その裏には問題がある。
この好景気は長続きしない。→潜在成長率(長期的に達成可能な成長率)が内閣府の数字だと1.0%、日銀の数字だと0.8%。
この0.8という数字はバブルがはじけた後、失われた10年の平均0.7とほとんど変わらないことを意味する。
低空飛行が予想される。
今景気がいいのは、政府の財政出動が多いから。当然良くなるが、効果は1年~1年半。2018年春で終わり。
ただ、来年は五輪に向け施設建設が続き、20年は五輪。だから20年までは何とか続く。

■経済のマイナスイベント
①2019年消費税再増税
②2019年は日銀がデフレ脱却の目標年としている。要は脱却すると金融緩和をやめて、金利を上げたい。
③東京オリンピック→過去の例を見ても、オリンピックがおわると急速に景気が悪くなる。例:ギリシャ危機の発端はアテネオリンピック。

■本来政府がやるべきこと
①人口を増やす。潜在成長率を伸ばす
②経済の生産性を高める
③改革をする

安倍政権5年間は、新聞が書いているほど改革は進んでいない。「成長戦略」がまだまだ。
例1:農業改革→JAの改革をしてしまっていて、流通の部分の改革だけになり、生産面にテコ入れできていない。農地規制の部分の改革ができていない。
例2:働き方改革→残業時間の上限規制と同一労働同一賃金はできたが、これだけでは生産性上がらない。例えば働く人がスキルアップできるよう政府が支援を充実すべき

■深刻な問題は2025年問題
社会保障の抜本改革をしなくてならなくなる。
10年前と今では日本経済のパイの大きさは変わっていないし、人口は減少している。
だが、政府の一般会計は2割増。社会保障費が原因。
段階の世代が75歳以上になる2025年はさらに加速。
今年の社会保障給付費は120兆円だが、2025年は150兆円の見込み。

年金の問題。65歳から受給開始だが、10年で元が取れる。40年まともに払った人が、65歳から10年で取り返せる。
これは、日本人の平均寿命を考えたらおかしな話。民間ならとっくに破綻している。
2050年には基金は枯渇。その年納められた分を受給者に渡すようになるだろう。
そうならないために、対策として、①年金支給額2割減、②支給開始70才へ、③医療・介護の自己負担増。
これをしないと破綻する。

以上の流れでいくと、将来的に国民が享受できるものは確実に減る。

■ではお先真っ暗なのか
経済の生産性を上げれるのは、政府だけではない。自治体は2020年までに自分の領分をどうするかが鍵。
→イノベーションを生み出す
イノベーションは技術革新と訳され、誤解されがちだが、ノーベル賞をとるような分野は発明。0から1を生み出すもの。
イノベーションはシュンペーターのいうnew combination 新しい組み合わせ。新たな付加価値を生む。1+1=3とか4になるように。

事例:音楽市場はこの20年で規模は半分。それでもAKBはCDを買わないと得られないおまけをつけた。音楽+一般のおまけ。またそれまでの「オタク」はアニメやゲームが主だったが、秋葉原を拠点とすることで音楽分野に取りこんだ。

嵐のファンクラブの会員数は自民党の党員数より多い。活動20年でそれだけ拡大できる。

■地方創生
大半は失敗するだろう。なぜなら、予算獲得してやるだけなら先述のように1年~1年版で終わるから。
地方でも成功しているところはある。長野県下條村1990年に人口4000人を切ったが、2010年に4200人に。村の公共事業を9割減らして、移住者のためのアパート建設にまわした。簡単な公共事業は村人とともにした。

今、官僚にどこの都市が一番元気があるかと聞けば、大半は「福岡市」と答える。
市長が数年前に日本で一番企業しやすいまちを目標として、国家戦略特区に。3年で成果出る。

都道府県レベルではイノベーションは無理。
広域すぎるから。
基礎自治体は住民の暮らしにばかり目がいくが、経済の視点が要る。

大阪は民間の力が強い、人のクリエイティビティが高い。

らぽっぽ、くくるの白ハトは一番尊敬する企業。

万博、IRは一過性。全体の景気に左右される。
大企業も経営者にはエリートが多くてイノベーションできない。
中小の方が可能性がある。
中小企業を支援しつつも、非効率なところはつぶすべき。悪平等はやめよ。

日本は40年周期で経済のアップダウン。
2025年は軽い危機がくる

1865年 明治維新前
1905年 日露戦争
1945年 敗戦
1985年 バブルピーク
2025年

市職員だけではイノベーション難しいから、議会が後押しを。