12月3日の本会議にて、以下の質問をしました!
その他、人口動態と税収についても質問を考えていましたが、10日の委員会にて行います。
コロナ禍の今こそ、公共空間の価値に注目してこれからのまちづくりにつなげていきたい考えで、本会議質疑をしました。
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1、公共空間の活用について
1問目
コロナの感染拡大の状況下ですが、こういう時だからこそ公共空間の活用の可能性に期待し、質問します。最近オープンスペースといった表現もよく目にしますが、今回は公共空間の活用ということで通告を出させていただきました。
①公共空間に対する考え(捉え方)について
本市では、都市計画マスタープランなどの計画で「公共空間活用」と記載されていますが、そもそもこの「公共空間」とは何をさしているか(どう捉えているか)、改めて教えていただきたいと思います。
・コロナ禍において公共空間の価値(特に屋外の公共空間)が再認識されていると感じていますが、本市の認識についてお聞かせください。
答弁
・いわゆる公共空間という言葉には、法律上の定義はなく、本市においても、過去の行政計画等で定義したものはない。一般的に、狭義では道路公園をはじめとした行政所有の空間を指し、広義では、公有民有問わず、誰もが自由に利用できる開かれた公共的な空間を指す言葉として使用されていると認識している。
自宅で過ごす時間が長くなる中、日常的な運動やリフレッシュの場として、また感染リスクを抑えた緩やかなコミュニケーションの場として、屋外の公共空間が有する価値はこれまで以上に高まっていると認識。
また、キッチンカーによるテイクアウト販売やテレワークの作業場等として利用することにより、屋内における密接な状態を回避できることなどから公共空間の効果的な活用が、いっそう求められていると考えている。
②方針(指針)について・公共空間の活用にあたっての方針、指針をもっているのでしょうか。その内容をお示しください。
答弁 公有民有問わない、広義の公共空間の有効活用に係る方針、指針等はないが、狭義の公共空間のうち、本市市有財産については、「公共施設等マネジメント基本方針」において、公共建築物の余裕空間を活用した民間への貸付や商業活用の許可のほか、公園や駅前広場等における余裕空間の活用により、財源確保にむけた創意工夫に努めるものとしている。
③現状の取り組みについて・本市では、実際に公共空間の活用事例として、どのような取組をされているのでしょうか、お示しください。
答弁 元茨木川緑地を利用したブックトラベルなど、市内の公園、緑地を活用したイベントを実施。また、公共空間の一層の活用に向けた社会実験として、○H28,29 スカイパレット 「場を開く社会実験」
○H30 中央公園人口台地 芝生広場社会実験 イバラボ
○R1 ローズWAM、にぎわい亭、元茨木川緑地で行った「場の活用によるまちづくり社会実験 イバラボプラス
○今年度 暫定広場 イバラボ広場
2問目
・公共空間の法律上の定義や、本市の計画上でも定義をしたものがないということでしたが、狭義と広義の一般的な用いられ方の認識を示していただきました。
確かに、「公共空間」と聞くと、答弁の狭義の方で「公園や道路、広場」というものをイメージするのですが、広義で示していただいた「公有民有問わず、誰もが自由に利用できる開かれた公共的な空間」という文脈の方が大事だと思います。
ただ、普段使う「公共」の概念が曖昧なので、本市としても公共空間活用の理念をいずれ明文化してほしいと思っています。
というのも、公共性はある識者の整理によると、official, common, openの3つに分類されて、一つ目のofficialというのは、国家に関係する公的なもの、二つ目のcommonは特定の誰かにでなく、すべての人々に関連する共通のもの、3つ目のopneは誰に対しても開かれているということです[i]。これを準用してofficial space, common space, open spaceとするなら、この3つをまとめてpublic space公共空間と呼んでいるため、意味が混在しています。ですので、これからの公共空間活用と言う場合、「オフィシャルスペース」と「オープンスペース」の中間、「コモンスペース」が重視されるべきかと考えています。
公共空間の価値は、①何かを始める「自由」と、②排除されずそこに「居場所」があるという2つの価値ですが[ii]、例えば、公園は誰にでも開かれた空間(オープンスペース)である一方、何かを始めることについては制限があります。ですが、これからの時代、オフィシャルな行政の管理的な側面だけを強調するのでなく、コモンスペースの発想で、様々な人の益になる公共空間の柔軟な活用が求められているのではないかと感じています。
先ほど、指針について答弁いただきました。本市では、狭義の公共空間で、公共施設等マネジメント基本方針において、「市有財産の活用」という意味で取り組まれていて、財源確保に向けた創意工夫に努めているとのことでした。
でも私は財源確保もさることながら、本来、広い意味で公有民有問わない公共空間の活用の文脈で考えることが大切だと考えています。
現状、本市のいろんな部で公共空間の活用がされていますし、都市整備部の方で景観の方のガイドラインの作成も進められていますから、取り組みの積み重ねから、理念やめざすべき価値をぜひ庁内横断的に共有して、いつか指針に落とし込んでほしいと思います。その際には、併せて社会実験、暫定利用、サウンディング、民間貸付の4つ(ステップ)を、実際に本市でも一定されていることだと思いますので、盛り込んでいただけたらと思います。
・次に、市有財産の方の意味合いとなりますが、例えばイバラボ広場は良い感じで進んでいると感じています。その公民連携のように、本市としても、民間事業者や市民に対して、この空間を活用しませんかと、打ち出していくべきだと考えます。
昨年、阪急茨木市駅前のまちかど公園の質問時でも申し上げましたが、まさにあのような空間が行政の管理スペースでなく、いろんな市民の方が憩える、あるいはコービーでも飲める場所になれるのではないかと思いますので、活用してもらいたい「公共空間のリスト」(データベース)をつくってはどうかと考えます。見解を伺います。(HPで写真や動画も確認できて、申請までできるような仕組みに)
・同時に、本市がまだ気づいていない公共空間がまだまだたくさんあるかもしれません。その意味においても民間からの公共空間活用の提案制度を導入してはどうかと考えますが、見解を伺います。
答弁 活用の内容が関係法令の規制に抵触しないことが前提となりますが、活用可能な公共空間を含む市有財産をリスト化し、民間事業者や市民に対して、広く活用を呼び掛けることや、民間事業者等からの活用に係る提案を受ける制度の実施は、それぞれの市有財産が有するポテンシャルを活かした有効活用につながるものと考えております。 現在、本市における民間提案制度の導入を視野に、先進事例の研究等に取り組んでいるところであり、今後も検討を進めてまいります。
3問目(要望)
・リスト化のことや民間提案のことなど前向きに検討していただいていると理解いたしました。ぜひ全庁的な検討していただき、その際には
「なぜ公共空間を活用するのか?」
「この空間は誰のためにあるのか?」ということを改めて問う機会にしていただきたいと思います。
財源確保の視点も重要ですが、私は、価値を再発見したり、別の新しい価値を生み出せたりするからこそ、よりよい空間を創ってほしいと願うものです。
例えば、今「ウォーカブルなまち」とよくいわれますが、高齢者が増えることを見込んで、中心市街地でオープンファニチャーとかベンチのような座れるところを増やしていくということ。沿道のような公有と民有の中間でもできたら良いなと思います。また、駅前の公園の一部で、花屋さんに無償で場所を貸す代わりに、花壇を花や植栽で綺麗にしてもらうといったことなど、アイデアはたくさん出てくるでしょうし、民間からの提案を受ける制度の実現を望むものです。
最後になりますが、公共空間の活用の方向性は、①新しい機能の組み合わせ、②用途変更、③使えなかった(使えると思っていなかった)空間の活用だと思いますので、空間の使い方が変われば、人の関わり方も変わって広がっていくと期待をしています。コロナ禍だからこそ、まだ人口減少社会だからこそ、市民の幸せや茨木の魅力を高めていくための活用をより一層取り組んでいただくことを要望して質問を終わります。
脚注
[i] 齋藤純一『公共性』(岩波書店、2010年)、ⅷページ。
①国家に関係する公的(official)なもの→公共事業、公的資金、公教育、公安など。
②特定の誰かにでなく、すべての人々に関連する共通のもの(common)→公共の福祉、公益、公共の秩序など。
③誰に対しても開かれている(open)→公然、情報公開、公園など。
[ii] 同著、ⅲページ。ハンナ・アーレントの著書から公共的空間(public space)の二つの政治的価値を説明。なおこれは、今回の質問の「公共空間」とは異なるが、援用した。
①自由(fleedom):抑圧から解放されていること(liberty)以上のものであり、それはイニシアティブ、何かを新たに始めること。公共的空間は、始まりとしての自由が、言葉や行為という形をとって私たちの前に現れる空間。
②「排除への抵抗」:椅子は空いたままだが席は設けてある。設けられている「席」とはあなたの自由のための「場所」のこと。公共的空間は、あらゆる人々の「席」=「場所」がもうけられている空間。